人身売買・奴隷の話
イジメ、差別.....
そういったものがなくならないか、ということを考えて、まず歴史から振り返ろうとして人身売買・奴隷に繋がった。
日本でいうと、どうやら安帝永初元年(107年)頃から奴隷というものは存在したと考えていいらしい。中国の後漢書東夷伝(受験生の日本史専攻の者は聞いたことがあるのではないだろうか)に日本の奴隷について記述されているようだ。
・安帝永初元年(107年)、倭国王の帥升等が百六十人の生口(せいこう)
を献上し、参内し天子(後漢・安帝)に拝謁することを願い出た。
この生口というのが紛れもなく奴隷・もしくは捕虜と解されている。
また実に興味深いと感じたのは、それは鎌倉時代の人身売買で飢饉(なんらかの要因で人々が飢え苦しむ)時には、普段禁止されていた人身売買(御成敗式目等で)が許可されてしまったことである。寛嬉(かんぎ)の大飢饉というとても深刻な飢饉が発生してしまい、どうやら鎌倉幕府は飢えに苦しみ死んでしまうくらいなら、自身の身のために人身売買することは仕方ないということにしたらしい。
その他にも、奴隷としての遊女(いわゆる性奴隷というやつである)また経済的な面から今でいうと援助交際にあたるのだろうか、奴隷でなくても自分の体を売って収入を得ていた者もいたらしい。
豊臣秀吉が天下の統一の後、南蛮貿易によりやってきたポルトガル人が日本人の奴隷を買い、当時植民地であったアジア等に連れて行かれたりもしたらしい。また当時の日本人は非常に好戦的で戦闘に長けていると称されており、そうやって海外に連れて行かれた者は、いわゆる兵の指示を出す指揮官みたいな役に付いていたことも分かった。
自ら奴隷となる者、また奴隷となっても活躍したものがいるというのは少しだけ気持ちが救われた気がした。
参考文献
渡邊大門「人身売買・奴隷・拉致の日本史」
柏書房株式会社 2014年4月10日 発行